【六根、六境、六識】人間の感覚と自動認識

【人間の自動的な反応】

私たちは普段、さまざまな情報を意識的にも無意識にも取り入れています。

街を歩いているだけでもバーゲンセールのポスターや美味しそうな飲食店の看板が目に入ります。

興味のある情報を目にすると脳は勝手に思考をはじめます。
「バーゲンってことは安くなってるのかなぁ?気になるなぁ」「この看板のハンバーグ美味しそうだなぁ、食べてみたいなぁ」
など。

実はこれ、自分の意思で考えているようで、その思考プロセスはほとんど反射的、ボタンを押して動くロボットの如く強制的に反応してしまいます。

お腹が空いている時に近くの飲食店から美味しそうな香りがして思わずお店に入りそうになった、ということはみなさんも経験があるのではないでしょうか。

私たちは五感から情報を受けると反射的に反応してしまい、その影響を自分の意思で止めることはできません。空腹時に美味しそうな香りがして、食べたいと思わないことはほぼ不可能です。(食べる食べないという行動は別にして)

【自動反応のプロセス】

人間が何かの情報を取り入れる時に媒介する感覚器官を六根(ろっこん)と言います。

眼、耳、鼻、舌、身、意(心)


即ち、五感と心のことです。

そして、その対象物を六境(ろっきょう)と言います。

色、声、香、味、触、法


感覚器官が認識できる対象を指します。

そして、六根で六境を認識することを六識と言います。

即ち眼、耳、鼻、舌、身、意の感覚器官を持って色、声、香、味、触、法を感じること。

ややこしいので食事に例えてみると、、
味わうための六根が「」。その対象である「食べ物」が六境。そしてそれを「おいしい」と感じる「認識」そのもの(本来は美味しいと感じる前、良し悪しを判断する前の認識)を六識と言います。

これはコントロールし難い自動的な反応です。

何かを口に入れると、自分の意思とは関係なく美味しい、不味いを感じます。ここにコントロールの余地はありません。例え親しい友人が自分の誕生日に作ってくれたケーキでさえも、激烈に不味ければ決して感謝の心が反映されて美味しいとはなりません。

文字情報を取り入れるときも、コントロールが効きません。例えば、以下の文字を見てください。ただし、そこに書いてあるものを一瞬たりとも想像することだけはやめてください

「パンダ」

この文字を見ると、パンダを想像しないでくれといわれても、自動的に頭の中に想像を作り出してしまうはずです。

まとめると、感情とは

「情報が五感から入ってくる」
↓
「その情報を感じる」
↓
「その情報を自動で判断する」
↓
「意(心)の振り子が動く」

まさにこの慌ただしく自動的に発動する心の動きのことです。

【周りの環境の大切さ】

人間は良いことも悪いことも触れてしまうとその影響からは逃れられません。環境による影響は滴る雫が岩を削るが如く、心の形も変形させていきます。

したがって仏教ではまず環境を整えるよう、善き仲間たちと共に努めるよう説いています。優れた環境、価値観に触れることでそれを自分に影響させるのです。

休日に朝早く起きることができなくとも出勤日に起きられるのは会社に所属する環境の影響。普段は見た目を気にしなくても、デート前には鏡に向かって入念にチェックするのもまた立場における環境の影響です。

環境を変えるのは負担が大きいことではありますが、その環境は人生において多大な影響を与えます。特に、周りの人はとても大切だということをお釈迦さまが説いているワンシーンがあります。

【アーナンダの問い】

ある時、お釈迦様はアーナンダという弟子からこんな質問をされます。

「善き仲間を持つことは、半分悟ったことと同じ価値があるのではないでしょうか」

それに対してお釈迦様は

「アーナンダよ、それは違う。
善き仲間と共にいることは全くもって悟ったことと同じくらい尊いことである」

と説いています。
特にこのお話では周りの人、善き仲間を持つことの大切さを教えてくれています。

【善き仲間とは】

では、仏教が説く善き仲間とは一体どんな人か。一言でお釈迦さまは答えられています。
それは

信頼できる友

少し抽象的に聞こえるかもしれませんが、信頼のおけない人間とお付き合いをしていても、疑心暗鬼になりそこに大きく体力や時間を費やさなければなりません。それは疑う方、疑われる方お互いにとって良くありません。

自分が信頼できる人間、尊敬できる人間と共にすることで、自身も同じく身 口 意(行い 言葉 心)が整ってくるのだと教えてくれています。

【最後に】

今、情報社会でたくさんの物事が六根に作用してきます。しかし、百千万劫難遭遇(せんまんごうなんそうぐう)何年経っても遭い難き今期の人生、無駄なことに時間を使わないため大切なことにフォーカスをして人生を進めていくための道標として仏教に触れていただきたい、また自分も学んでいきたいと強く思っています。

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