【知識と知恵】

「知識と知恵、意味の違いはなんですか?」と聞かれたら、みなさんは何と答えますか。普段から当たり前のように使われる言葉ではありますが、「なんとなくわかってるような、わからないような、、」突然に違いを説明してくれと言われると、なかなか難しく感じます。

今回の「知識」と「知恵」の違いを意識することで、どんな学びのジャンルであっても、その学びの質を大幅に向上させることができます。反対にこの違いを把握しないと、どれだけ努力しても成果の出ない無駄な労力を費やしてしまうこともあります。

人生の有限なエネルギーを無駄に使わないために、今回の仏教のお話ぜひ参考にしてください。

【知識と知恵=武器と使い手!?】

この違いについてさまざまな答え、考え方があると思いますが、以下のように考えると区別がしっかりできるのではないでしょうか。

  • 知識とは「情報」
  • 知恵とは「情報を活用する能力」

知識はものごとを知る事柄の対象のことで、知恵は知り得た事柄を生かす力のこと。学校で学ぶ漢字、数式、歴史などが知識。その知り得た情報をうまく生活の中で活用する能力が知恵。

これを「武器」と「使い手」と例えるとわかりやすいでしょうか。

どれだけ素晴らしい武器(知識)を持っていても、それを使う本人に使いこなす能力(知恵)がなければ宝の持ち腐れ。どれだけ武器を集めても使えなければ、ただのコレクション マニアです。

良き武器を持つことも大切ですが、使いこなす自分の能力を育てることも重要です。

【知識と知恵の育て方】

武器、いわゆる知識を得ることは学問を学んだり本を読んだり「学ぶ」方法がわかりやすいですが、では知恵を育むにはどのようにすればよいでしょうか。

それこそ、仏教の教えにある”教相(きょうそう)と事相(じそう)”の考え方が理解を深めてくれます。

【仏教が説く学び方の極意】

仏教では学びの軸をふたつに分けています。それが「教相・事相」です。

・教相とは理論を学ぶ事柄

・事相とは実践から学ぶ事柄

経典を読み書きすることで学びを得るのが教相

修行を実際に行じることで得る学びが事相

車の免許で例えると、机の上で勉強する学科が教相。路上に出て実際に運転する実地が事相。操作方法、交通ルールを学ぶことも大切です。しかし実際に路上に出てハンドルを握る体験からしか学べないものもある。どれだけ素晴らしい知識(運転の仕方)を知っていても、その知識を活用し運転ができなければ意味がありません。

では知恵を育むにはどうすればよいか。それは、知恵を育むには「実践」こそ重要であると仏教では説いています。

学んだ知識を実践の中で実際に試してみることで、どのようにしたらうまく扱えるかを体験の中で自然と思考します。それを繰り返すことで感覚的にも知恵が身についてきます。

スポーツで体を動かす際、その動き方を教えてもらって言われてることは分かるけど実際やってみるとできない。緊張しなくてもいいと頭で理解していても、いざ人前に立つとどうしても緊張してしまう。

これを克服するには実際に行う「実践を重ねる」ことがとてつもなく重要あると仏教では強く説いています。

【まとめ】

理論を学ぶことで物事をより鮮明に捉えられたりします。反対に、心の微妙な動きやその場の状況、空気感などは実践の中で感覚的に身につけるしかありません。

本を読んで学んだり教わることで学んだり体験の中で身につけたり。学ぶ方法はたくさんありますが、その学びをより深いものにするために、仏教では「事相と教相」この2つを意識し、その両方から学びを得なさいと説いています。

理論を学び、実践する事相と教相。このようにカテゴライズすると、知識と知恵、両方のアプローチで学ぶことができ、頭でっかちにならず、また感覚だけに頼らないバランスの取れた学びを得ることができるかもしれません。

ぜひご参考にしていただければ幸いです。

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